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車塗装・板金ラボ | DIYからプロ技まで

なぜ車は錆びるのか?|車塗装・板金ラボ①

―金属腐食のメカニズムと塗装・防錆技術の役割―


錆の正体は「腐食」という化学反応


車の錆(さび)は、金属が酸素と水分と反応して「酸化鉄」を生成することで生まれます。鉄や鋼板は酸化しやすく、反応が進行すると赤茶色の錆として現れます。自動車の寿命を縮める最大の敵は、この金属腐食です。


電気化学的腐食が起きる仕組み

車に多く見られるのは「電気化学的腐食」。金属表面に水分・酸素・塩分などの電解質が存在すると、金属が小さな電池のようになり、腐食が急速に進行します。冬場に道路へ散布される凍結防止剤(塩化カルシウム・塩化ナトリウム)や、海沿いの空気中に含まれる塩分は腐食促進の大きな要因です。


塗膜の多層構造と劣化の影響

自動車の塗装は、下塗り(プライマー)・中塗り(サフェーサー)・上塗り(トップコート)からなる多層構造です。プライマーには防錆性能、中塗りは平滑性、トップコートは紫外線・外傷保護を担います。しかし、飛び石や紫外線によって塗膜にピンホール(微小穴)やクラック(ひび割れ)が生じると、その隙間から水分と酸素が侵入し腐食が進みます。





見えないところから進む錆

溶接部や端部で進む「エッジ腐食」、塗膜下で進む「内部腐食」は特に気づきにくいタイプです。塗膜下で広がり続けると、膨れ(ブリスター)や剥離となって表面に突然現れ、板金修理が必要になることも少なくありません。

錆予防の基本は【洗浄】【防錆塗装】【早期補修】

錆予防の第一歩は、定期的な洗車と下回り洗浄(アンダーウォッシュ)です。特に塩害地域では、下まわりに付着した塩分を除去することで腐食リスクを大幅に減らせます。
さらに効果的なのがアンダーコート(下まわり防錆塗装)。車のフロアパネル・サスペンション部・ホイールハウスなどは、飛び石や水分が直接当たりやすい過酷な環境のため、防錆塗装による弾性塗膜が強力なバリアとなります。
小さな傷は放置せず、タッチアップや防錆プライマーによる早期補修が錆の進行を防ぐ重要なポイントです。

最終更新日:2025.11.12