—合成樹脂の登場がもたらした革命—
「塗料」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、
缶に入った液体をハケで塗る、あの現代的な姿かもしれません。
しかし、この“現代の塗料”が生まれたのは、
わずか100年ほど前のこと。
その背景には、化学技術の発展という大きな転換点がありました。
■ 天然から人工へ ― 合成樹脂の登場
20世紀初頭、それまでの塗料は「自然由来」が主流でした。
亜麻仁油(あまにゆ)や柿渋、ニス、うるしなど、
自然から採れる成分を使っていたのです。
しかし、1930年代になると、
化学合成によって人工的に作られる合成樹脂が登場します。
フェノール樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂…
これらの素材が、塗料の性能を飛躍的に高めました。
たとえば、
・乾燥が早く、作業効率が上がる
・光沢が長持ちし、退色しにくい
・水や油、紫外線にも強い
といった特長は、まさに「化学の力」そのものです。
■ 社会の発展とともに進化する塗料
第二次世界大戦後、日本でも産業が急速に発展し、
住宅・自動車・家電・橋梁・船舶など、
あらゆる分野で塗料の需要が拡大しました。
「色をつける」だけではなく、
「守る」「機能を与える」という役割が求められるようになり、
防錆塗料、防汚塗料、耐熱塗料など、
多様な高機能塗料が次々に登場します。
塗料はもはや、建物や製品の“仕上げ”ではなく、
“性能そのもの”を支える存在になっていったのです。
■ 環境へのまなざし ― 新しい時代の塗料へ
やがて時代は、環境配慮の時代へ。
1970年代以降、VOC(揮発性有機化合物)による大気汚染問題が注目され、
水性塗料や低溶剤型塗料が開発されました。
さらに近年では、
・太陽光を反射して温度上昇を抑える「遮熱塗料」
・空気を浄化する「光触媒塗料」
など、環境と快適さを両立する製品も登場しています。
化学の発展は、塗料を“便利”にしただけでなく、
地球環境を守る方向へと導いているのです。
天然素材から始まった塗料の歴史は、
科学の知恵によって形を変えながら、
今も私たちの暮らしを支え続けています。
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