外壁改修や塗替え工事において、シーリング材は防水性能だけでなく、仕上がりや耐久性を左右する重要な工程です。
近年は「塗装できるシーリング材を選びたい」という相談が増えています。これは、材料選定のミスが塗膜トラブルや早期劣化につながることが、現場で広く認識されるようになってきたためです。
本記事では、商品名ではなく「選び方の考え方」に焦点を当て、塗装工程を含む外壁工事で失敗しないためのシーリング材選定について解説します。
シーリング材選定で塗装トラブルが起きる理由
外壁塗装後に発生するトラブルの多くは、シーリング材と塗料の相性に起因しています。
- ・塗膜のはじき
- ・付着不良
- ・ブリードによる汚染
これらの問題は施工直後には気付きにくく、数年後に不具合として顕在化するケースが少なくありません。 原因の多くは、「防水材としては問題ないが、塗装工程を考慮していない材料選定」にあります。
塗装できるシーリング材とできないシーリング材の違い
シーリング材は大きく分けて、以下の系統に分類されます。
- ・シリコン系
- ・変成シリコン系
- ウレタン系
シリコン系は防水性に優れる一方、塗料をはじきやすく、基本的に塗装工程には不向きとされています。 一方、変成シリコン系やウレタン系は塗装が可能ですが、耐候性や施工条件を含めた総合的な判断が必要です。
外壁改修で変成シリコン系が選ばれる理由
外壁改修や大規模修繕工事では、変成シリコン系シーリング材が標準的に採用されるケースが多くなっています。
- ・塗料との密着性が安定している
- ・耐候性・耐久性に優れる
- ・ALC・サイディングなど幅広い下地に対応
これらの特長により、「塗装工程を含めてトラブルが起きにくい材料」として評価されています。
ノンブリード仕様が求められる現場条件
塗装仕上げを行う外壁工事では、ブリード(可塑剤の移行)による汚染が問題になることがあります。 このような現場では、ノンブリード仕様のシーリング材を選定することで、仕上げ材への影響を抑えることができます。 特に淡色仕上げや意匠性を重視する建物では、ノンブリード仕様の有無が重要な判断基準となります。
シーリング材は「工程全体」で考える
シーリング材の性能は、単体で評価するものではありません。
下地処理 → シーリング施工 → 養生 → 塗装
この一連の工程の中で、安定して性能を発揮できるかどうかが重要です。
改修工事では、材料トラブルによる手戻りが工程・コストの両面に大きな影響を与えます。そのため、実績や施工安定性を重視した選定が求められます。
現場での採用事例から見える選定の傾向
実際の改修現場では、変成シリコン系・ノンブリードタイプのシーリング材が多く採用されています。 代表的な製品としては、サンスター ペンギンシール MS2570typeNB などが挙げられますが、重要なのは製品名そのものではありません。
・塗装工程に対応しているか
・ノンブリード仕様であるか
・継続的な施工実績があるか
といった判断基準を持つことが重要です。
製品選定時に確認しておきたいチェックポイント
- 用途区分(外壁目地・ALC・サイディング等)
- 塗装工程の有無
- ノンブリード仕様かどうか
- 仕様書・資料の整備状況
これらを整理しておくことで、元請・管理会社とのやり取りもスムーズになります。
まとめ|塗装工程を含む工事では材料選定が結果を左右する
外壁改修や塗替え工事において、シーリング材は「見えない部分」ですが、仕上がりと耐久性に大きく影響します。 塗装工程を含む場合は、塗装適性・耐候性・施工実績を総合的に判断し、工程全体を見据えた材料選定を行うことが重要です。塗料・シーリング材の選定や施工に関する情報は、今後も当コラムで継続的に発信していきます。
塗装工程に対応したシーリング材について、具体的な製品仕様や対応用途を確認したい方は、下記ページをご参照ください。
変成シリコン系・ノンブリードタイプのシーリング材 製品説明
